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【メモ】 ジャーナリズムを飼っておくコスト

もう、先進国の消費者には、マスメディア広告は利用されていない。
広告はもう終わっちゃったスキームなのだ。
だから、メディアの広告売上は落ちる一方だ。
しかし、広告売上の低下を持って、メディアの組織の値段を決めてしまうのは間違いだろう。


NYタイムズの市場価値、驚きの低評価
広告収入の激減がきっかけとなり、株価は1年前の半分に下落

NYタイムズが保有する米ボストン・グローブ紙と14の地方紙を売却した場合の税引き後の価値は5億7500万ドルになると試算

と言う記事(http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080731/166787/)は、これまた勘違いではなかろうか?

と言う記事を、大胆に要約すると、広告売上が落ちている新聞の経済的価値はこんなものだ。と言うことである。
もちろん、反論も載っていて、

実際、誰もが信頼する新聞であり、ウェブサイトへのアクセス数も非常に多いNYタイムズ紙だけでも、7億5000万ドル以上の価値があるのではないか。(中略) 「NYタイムズは、これから先もずっと消え去ることはないだろう。(評価額は)あまりにも悲観的すぎる。必要なのは、広告収入の回復だけだ」。

とあるが、こちらにも賛同できない。
新聞広告の売上がかつてにような水準に回復することは、もうないからだ。
そういうあり得ない希望値を持って、新聞の価値の復権を主張するのは、本質的ではないだろう。

メディアにおける広告の売上比率は大きい。
新聞の面積あたりの制作費を調べたら、記事と広告では桁違いに広告の方がでかい。
たぶん、二桁違うのではなかろうか?
「読ませる記事」「買うに値する記事」とはいうものの、定期購読に支えられているだけで、実際に金を払ってまで手に入れたい記事は少なく、払って良い代価は少なく(業界では、一記事100円相当なら上出来と言われる)、また、実際に金を払ってくれる人は少ない。
と言うような、売上の事情から、NYタイムスの価値は安く見積もられちゃうんだろうけど、記事の経済効果を軽く見過ぎじゃないのかな?


NHKスペシャルで、ユニリーバ・インドが子供を使ったプロモーションをしていたと言う報道はPR担当にとって悪夢(http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080726/166354/)と言うような話もあり、番組・記事の影響力はでかく、それは広告では(直接は)買えないし、その事実を広告で打ち消すことは難しい。


だから、テレビにしろ新聞にしろ、影響力があるのは、番組や記事である。
そこに読者は金を払うし、そこに自社の情報の載せてもらうために、各企業は大枚と人手をかけるのである。

約20%の米広告主がニュース記事を書いてもらうために広告を出稿(http://adinnovator.typepad.com/ad_innovator/2008/07/20.html)なんて記事があるように、広告は記事を書いてもらうためのあいさつ料(ここでは書いてないけど、悪い記事を書かれないためのみかじめ料でもあったりする)なのである。
まあ、「20%」だから、8割はそんなことしてないよと言う風に読むべきなのかな?
でも、こうした質問に素直に答えるウブな広報も少ないと思うが?
「当社は、記事や番組に取り上げてもらうため、広告を出しているのです」と素直に答えた企業が20%もいたと言うことがむしろ驚きだ。


有り余る広告費で、記事や番組の内容を買いに来るご時世に、売上を落としている新聞社やテレビ局は、どうやってその誘惑に打ち勝つか?
「報道の中立」というきれい事はさておき、アイフォーン報道のようなプロモーション記事を扱ってしまう「無作為の作為」のような行為は減らないどころか増える一方だろうな。だって、こういう「記事」を載せれば、広告営業になるし、載せないと広告掲載を撤回されたりするわけで、広告売上のためには載せざるを得ない。

こういう時代において、批判報道は本当に難しい。
取材が困難で、時間と金がかかり、結実するとは限らず、仮にスクープまで持って行けたとして、それでいて売れるとは限らないから。
(スクープを合法的に埋没させるPR技術はすでにあるし)

今は、ネットなどですさまじく非難されているが、曲がりなりにもジャーナリズムはある。
その実態はとても手放しで礼賛できる者ではないが、それでも事実を発掘し、不正を告発するプロは必要だ。
ブロガーが代替する部分もあり、かつてのような記者クラブに座らせておいて、リリースを転載するような記者はもういらないけど、「本当のこと」を調べて報じるシステムは要るよね。

NOVAとかグッドウィルの実態は、ちょっと調べれば分かっていた訳なのだが、結局、膨大な広告費の前に、記事となることはほとんどなかった。
でも、これだと消費者は困るんだよね。
「本当のこと」を調べて報じるプロ、すなわちジャーナリズムを飼っておくことは必要で、そのコストをどうやって負担するかが、これからのメディア再編において重要ではなかろうか。


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